RNRVAS(Repetitive Non-Reentrant VA Synchrony)反復性非リエントリー性室房同期...
日本語を聞いても「??」ですよね(笑)
デバイス関連業務に携わっていないとちょっと聞いたことがない言葉かもしれませんが、分かり易く説明してみようと思います
上図は先週ペースメーカ外来で意図的にPVARP、AV-delayを変更してDDDRモード中にRNRVASを起こした状態を示しています
表示されている波形は上が体表面心電図、下がA.BipolarでマーカーはA:心房Pacing、V:心室Pacingを表しています
体表面心電図を観察すると心室Pacingのタイミングで心室はCaptureされていますが、
心房Pacingが行われているにも関わらず心房はCaptureされていないのがお分かり頂けるかと思います
A.Bipolarをじっくり観察すると、心室Pacingの後にVA逆伝導がありますね
心室Pacingが起こりそれによるVA逆伝導、その直後に心房の無効Pacingが繰り返し認められています、この状態をRNRVASと言います
RNRVASはDDDRもしくはDDIRモードで認められ、その絶対条件としては以下の2つが挙げられます
①VA逆伝導の存在
②心房無効Pacingの発生
心室Pacingにより心室が興奮する⇒心室Pacingから約240msec後にVA逆伝導により心房に興奮が伝わり心房興奮を起こしたものの、不応期(PVARP)内センスだった為に新しいタイミングサイクル(AV-delay)を開始させる事が出来ず...
前回の心房Pacingから約857msec後(設定Basic Rate=70 VA逆伝導から約240msec後)に心房Pacingが行われたが、VA逆伝導によって興奮した心房の不応期内であった為に無効Pacingとなり房室伝導が生じなかったと言えます
簡単に言えば、心室PacingによるVA逆伝導で心房興奮を起こしたが不応期内であった為にPacemakerにはそれが分からず...心房興奮が起きていないと認識して、前回の心房Pasingから設定インターバル後に心房Pacingを行ったが、VA逆伝によって興奮した心房筋の不応期を脱していないタイミングだったので無効Pacingとなってしまった...といった感じでしょうか
下図は“イラストで学ぶ心臓ペースメーカ Step by Step”より引用しましたので参考にして下さい

ついで当施設の閾値と出力の考え方を紹介します
一般的に安全マージンを考慮して“
出力は閾値の2倍を確保する事が望ましい”とされていますが、当施設では若干この考えとは異なります
例えば心室の閾値が0.5Vの患者Aさん、1.0Vの患者Bさんがいたと仮定します
上記の理論に当てはめると、患者Aさんはの出力は1.0V、患者Bさんは2.0Vに設定する事になります(もちろん実際には閾値が0.5Vであっても出力を1.0Vに設定しないとは思いますが...ここでは仮という事でご理解下さい)
さて、どちらが安全マージンが高いと思いますか?
2人とも閾値の2倍の安全マージンを確保しているので同じじゃないの?...と思うかもしれませんが“
絶対値”として捉えてみると如何でしょうか?
患者Aさんは1.0-0.5=0.5Vしかマージンがありませんが、患者Bさんは2.0-1.0=1.0Vの安全マージンがあります
つまり何が言いたいかと言いますと“
絶対値”として捉えた場合“
患者Bさんは患者Aさんの2倍の安全マージンがある”という事です
当施設の絶対値としての安全マージンの最低ラインは閾値+1.0Vです
先日、当施設でCRT-Dの移植をされた方の術中及び一週間後LVの閾値が2.75V 1.0msecでした
急性期は閾値の変動を考慮してLV出力は5.0V/1.0msecの設定にしましたが、次回の外来チェックで閾値が安定していれば4.0V/1.0msecに設定する予定です
これも所謂、安全マージンを絶対値として捉えている為であり、4.0-2.75=1.25V(≧1.0V)と十分なマージンが確保されていると考えています
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- 2012/03/18(日) 22:33:41|
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教えていただきたいのですが、3文字目のTの役割がいまいちつかめません。
よろしくお願いします。
- 2013/12/10(火) 12:45:45 |
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