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臨床工学技士blog

臨床工学技士である管理者が、知識の整理も兼ねてですが、主に臨床工学に関する情報をアップしていきたいと思っています。

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IABP


基本的な内容になりますがIABP(Intra-aortic Balloon Pumping)の知識を少し整理してみました

・IABPとは?

バルーンカテーテルを患者の大腿動脈から挿入し、胸部下行大動脈まですすめ、心臓の拍動に同期して30~40mLのバルーンを拡張(以下インフレート)、収縮(以下デフレート)させる事で心筋への酸素供給を増加させ、心筋の酸素消費量を減少させる補助循環装置

・IABPの2大効果
Diastoric Augmentation(ダイアストリック オーグメンテーション)
心臓の拡張期にバルーンを拡張させる事で冠動脈への血流が増加する。IABPによって得られる効果はいくつかありますが、これがIABPの最も重要な効果です。
冠血流の2/3は拡張期に流れます。といいますのも心臓の収縮期に心筋が“ギュ”っと収縮すると冠動脈は半分以上が心筋にうもれている為、圧迫されてしまい血流は流れません。ところが心臓の拡張期にはいると心筋の圧迫が無くなり、ようやく冠動脈にも血流がしっかり流れるようになります。拡張期にバルーンがインフレートする事で、冠血流が増加する理由はここにあります。このDiastoric Augmentationは割とイメージし易いのではないでしょうか。

Systolic Unloading(シストリック アンローディング)
心臓の収縮期にバルーンを収縮させる事で心筋酸素消費量を低下させることが出来ます。新人の看護師さんだと、この説明だけだとちょっとイメージし難いのではないでしょうか?
分かり易く説明すると、心臓の拡張期にバルーンがインフレートするとバルーン容量の30~40mL分の血液がこのとき一気に末梢まで流れます。そして次の瞬間にバルーンが一気にデフレートする事で、要するに先程末梢に流れた血液30~40mL分だけ下行大動脈から血液が少なくなっている状態(左心室の後負荷である血圧が下がる)で心臓から血液を全身に押し出そうとするので心臓は楽に血液を押し出す事が出来るというのがイメージできますでしょうか?これがSystolic Unloading効果です。

心臓拡張期にバルーンがインフレート⇒バルーン容量30~40mL分だけ血液が末梢に流れる⇒左心室にとっての後負荷(血圧)が減る⇒次の瞬間にバルーンをデフレートさせる事で心臓は楽に血液を押し出す事が出来る、という事は楽になった分だけ消費する酸素も減る...といった感じでしょうか。

http://www.youtube.com/watch?v=o11fhdVOYWA

・IABPの適応基準

どの教科書にも載っている内容ですが...
カテコラミンを使用しても以下の基準を満たす重症心不全
■収縮期圧<80mmHg
■PCWP>20mmHg
CI<2.0/min/㎡
■CVP>22mmHg
SvO2<65%
その他の臨床的指標として尿量や末梢循環不全等

この中で唯一絶対的な導入基準はCI値です。CI<2.0/min/㎡というのはいわゆる“LOS(Low output syndrome 低心拍出量症候群)”の状態を示唆しています。LOSは放っておくと腎不全、肝不全、呼吸不全等の多臓器不全に移行しますので重症心不全治療においてLOSをいち早く脱する事は非常に重要だと言えます。

あと忘れてならないのがSvO2ですね、前回の記事で紹介した通りでSvO2は心拍出量(Cardiac Output、以下CO)に伴って変動します、SvO2を知る事でCOを間接的に知る事が出来ます。SvO2が低下していればCOも低下していますのでLOSを示唆する指標となり得ます(但し発熱、貧血はCOはそこそこあってもSvO2は低値を示すので要注意)。

その他の数値は症例毎に考えていく場合が多いと思います。すべての症例で“血圧80mmHg以下だからIABP準備して!”とはなりませんね、PCWPにしても正常な状態から急にPCWPが20mmHgになってしまうと肺うっ血、肺水腫(心不全)になってしまいますが、例えば僧房弁閉鎖不全等で慢性的にPCWPが高値を示している場合は肺血管がその状態に慣れてしまっているのでPCWPが20mmHg以上になったからどうこうしなければならない...とは言えません。Case By Caseで考えていく必要があります。

IABPの最大の効果は先程述べた通り“冠血流の増加”ですので急性冠症候群(Acute Coronary Syndrome)等の冠動脈疾患では心機能が改善し、COの改善が著しい場合があります。

ではそれ以外の心疾患、例えば弁膜症や心筋症等でLOSに陥ってしまった場合はIABPは効果がないのか?と言いますとこれらの心疾患であっても補助循環の1st choiceはやはりIABPです。

重症心不全治療の目標はLOSをいち早く脱する事です。CIの正常値は2.5/min/㎡以上であり、2.2/min/㎡以下になるとLOSと言われています。但し、LOSと言っても何もCIが1.5とか1.2とかその様な数値を示す事ほとんどなく、そのほとんどが1.9~2.0程度、わずかにCIが足りないが故にLOSを呈している場合が多いのです。

この様な場合、IABPで心臓をサポートしてあげる事で2.0だったCIが2.2なり2.3に上昇すればLOSを脱する事が可能となります。私の施設でもIABPの使用はACSやリスクの高いPCI、人工心肺離脱後が多いのですが、これらの心疾患であってもIABPの果たす役割は大きいと言えます。

長くなってきたので今回はこの辺で失礼します
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  1. 2012/02/25(土) 09:57:35|
  2. 人工心肺・補助循環
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