FC2ブログ

臨床工学技士blog

臨床工学技士である管理者が、知識の整理も兼ねてですが、主に臨床工学に関する情報をアップしていきたいと思っています。

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
  1. --/--/--(--) --:--:--|
  2. スポンサー広告

WPW症候群


蜀咏悄+12-01-09+13+58+46_convert_20120109140439

orthodromic(順行性) AVRTのAblation施行中に得られた12誘導心電図です

Catheter挿入中にPSVT(この時点ではAVNRTかAVRTかの鑑別は出来ていないので...)を認め、Vscanにて心房の早期補足現象(Reset)がありAVRTと診断した症例です

現在は様々な不整脈のAblation治療に携わっていますが、WPW症候群、学生時代は“WPW症候群=Δ波⇒PQ時間短縮、QRS時間延長”程度しか私は覚えていませんでした...

WPW症候群は時に頻拍を起こすことがあります

写真の4拍目までは洞調律(非発作時)です、Δ波は明瞭ですね

Catheter操作中に生じた期外収縮がきっかけとなり8拍目から頻拍発作が起きています

非発作時の心電図を見るとΔ波が明瞭なのに対し、発作時の心電図にはΔ波は認められません

これはなぜでしょうか?

まず非発作時のQRS波は“Kent束経由興奮とHis束経由興奮の融合波”となります

洞結節⇒心房⇒房室結節⇒心室経由の興奮と、洞結節⇒心房⇒副伝導路⇒心室経由の興奮が合わさっています

副伝導路経由の興奮は正常な刺激伝導系を経由していないので心室興奮に時間がかかり、これがΔ波を形成しWide-QRSとなります

それに対して発作時のQRS波は、His束経由興奮のみで形成される(orthodromic AVRTの場合)為、Δ波は認められずNarrow-QRSとなります

心房興奮⇒房室結節興奮⇒心室興奮⇒副伝導路
  └←---------------←┘

心室興奮はすべて房室結節を経由し、副伝導路を経由して心室が興奮することはありません

副伝導路は不応期を脱していないので伝わる事が出来ません...

この症例では誘発せずとも頻拍発作が起きていますが、通常は心房早期刺激に対して、Kent束と房室結節の両者が伝導している間はΔ波のManifestation(顕在化)が起こりますが、Kent束が不応期になると、房室結節のみを経由して興奮が心室に伝わるのでAV時間が延長しΔ波が消失して、PSVTが誘発されます

心房早期刺激⇒心房興奮⇒Kent不応期の為、房室結節経由で心室興奮(故にΔ波認められない)⇒Kent不応期脱してKent経由で心房興奮⇒...の繰り返しがorthodromic AVRTとなります
スポンサーサイト
  1. 2012/01/09(月) 15:32:27|
  2. EPS、RFCA
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

心房細動アブレーション






心房細動に対するCatheter Ablationは近年急速にその実施施設が増加してきています

当院でも数年前から積極的に心房細動に対するCatheter Ablationを実施しています

当院は約160~180件/年のCatheter Ablationを実施していますが、その半数を心房細動が占めており、ここ最近は慢性・持続性心房細動の占める割合が増加してきています

心房細動Ablationは長期戦です、初回治療(1st Session)が約3時間(他施設に比べると当院はかなり早いです)かかります

1st Sessionで発作性の場合は1時間30分で終えた事もありますし、逆に慢性や持続性の場合は3時間以上かかる事もありCase by Caseです

最も再発で2nd Sessionとかだと早ければ1時間以内(40分で終わる事も...)で終わってしまいます

日によっては心房細動Ablationが4件...という事もあります

もちろんすべて新規ではなく再発の場合も多いのですが...

心房細動Ablationは、他の不整脈のAblationと比較すると、マニアックな世界でどうしても知識よりも手技が先行している印象があります

ここで当院の発作性及び慢性/持続性心房細動に対するAblation Strategyを簡単に紹介したいと思います

写真は手元にいいのがなかったので、ちょっと分かりにくいですが上図が左心房のAP-Viewで下図が右心房のLAO-Viewになります(本当は肺静脈周囲線状焼灼が完成した図を載せたかったのですが)

【発作性心房細動(Paf)に対するAblation Strategy】
1.CSへ1本、左房へ2本のシースを導入
2.CARTO mergeで左房のCTをベースに使用
3.洞調律もしくは心房細動中にLASSO非ガイド化下に1本のイリゲーションカテーテルのみで肺静脈周囲解剖学的円周状焼灼
4.LASSOカテーテルを挿入して、左房・肺静脈間電気的完全ブロックを作成
*心房細動誘発や、Line状焼灼は実施せず、2nd Session以降では考慮する
*1st Sessionの治療時間は2時間30分を越さない程度で終えている


【慢性・持続性心房細動(Caf)に対するAblation Strategy】
1.左房へ挿入前に上大静脈の高頻度興奮の有無評価(CS-RAカテーテル)
2.心房細動中の肺静脈周囲解剖学的円周状焼灼
3.左房roof-line線状焼灼
4.LASSOカテーテルを挿入して心房細動中の肺静脈電気的隔離(深追いせず)
5.CFAE(complex fractionated atrial electrogram)焼灼
6.DC
7.肺静脈隔離の確認
*5まで実施して心房細動が停止するのは約10%でDCで停止させる事がほとんど
*再誘発、Mitral IsthmusやCS-lineの焼灼は実施せず、2nd Session以降では考慮する
*1st Sessionの治療時間は約3時間程度で終えている

当院のCARTO-mergeの方法ですが
1.左心房-肺静脈移行部(当院ではLIPV1カ所)のmap pointを作成
2.左房後壁のおよそ30カ所のmap pointを作成
3.LIVP 1pointを用いてvisual alignmentを実施
4.さらに、全map pointを用いたsurface registrationを実施
5.registration後のmap pointとCTで作成したLA imageとの誤差を比較し、誤差が大きいmap pointは削除し再度surface registrationを実施⇒肺静脈周囲解剖学的円周状焼灼へ...

ちなみに当院の成績ですが、慢性・持続性心房細動の場合であっても約80%は洞調律が維持できいます
発作性心房細動に移行した症例も含めると約90%の症例は慢性・持続性の心房細動ではない状態にまでもっていけています

もちろん再発して2nd Session...という症例も決して少なくないのですが

再治療時の所見で多いのはやはり“肺静脈伝導再開”で、再度隔離のみ実施して終了しています

慢性・持続性心房細動のAblationでは肺静脈がしっかり左心房から隔離されているという事が非常に重要なのです
  1. 2011/12/30(金) 15:49:45|
  2. EPS、RFCA
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0

心臓の解剖


心臓を正面から見た図



右心房(RA)には上大静脈(SVC)と下大静脈(IVC)か開口しています

黄土色っぽい部分がSVC-RA-IVCにあたります

正面の水色は右心室(RV)+肺動脈(PA)になります

左心室(LV)は正面からは見えません

つまり...心臓を正面(AP-view)から見た場合、右心室が左心室の手前にあるという事です

これは例えば、右脚ブロック(RBBB)の心電図で胸部誘導であるV1,V2誘導はどんな波形になるか理解する上で役に立ちます

その前に、心電図を理解する上での大原則


電極に向かって興奮が進むとき、波形は上向きになります

電極に向かって興奮が遠ざかるとき、波形は下向きになります


右脚ブロックの時は、最初に左脚から左心室が興奮して、そのあとで右心室が興奮します

つまり左心室⇒右心室の向きに興奮が進みます

言い換えると心臓の後(左心室)⇒前(右心室)に興奮が進みます

後から前に興奮が進む...っていうことは心臓の前に貼ってある誘導であるV1,V2に向かって進む訳ですよね

だから右脚ブロックではV1,V2で波形は上を向くのです

右脚ブロックだからV1,V2は上を向くではなく、もう一歩踏み込んで

右脚ブロックでは興奮は左心室(後)から右心室(前)に向かって進むのでV1,V2は上を向くんだと

こうやって覚えておくと後々忘れないんですよね

右脚ブロックの時の心電図の特徴を丸暗記するより効率的かなと思っています

応用も効きますしね

私は暗記するのは大嫌いで、なんでそうなるのか?なぜ?どうして?を常日頃から意識しています

では左脚ブロックの時のV1,V2誘導は上向き?下向き?

簡単ですよね
左脚ブロック⇒左脚がブロックされているので左心室に興奮が伝わらない⇒右脚は正常なのでまず右心室が興奮⇒右心室の刺激が順ぐり順ぐり左心室に向かって進み左心室が興奮する

興奮の進む向きは右心室⇒左心室
言い換えると心臓の前⇒後
心臓の前に貼ってあるV1,V2から見ると前⇒後...なので興奮は遠ざかっていく
遠ざかっていくので波形は下向きに振れる

他にもPCVの起源WPWのAccessary Pathwayの部位を推定する上でも役に立ちますね

赤色は大動脈(Aorta)
桃色?は左心房(LA)-肺静脈(PV)となります

心臓を真後から見た図



色はAP-Viewと同じく
・黄土色⇒SVC-RA-IVC
・水色⇒RV-PA(PAが左右に分岐する部分が見えています、RVは正面にあるのでPA-viewでは見にくい)
・桃色⇒LA-PV(PVは肺静脈で上下左右に計4本ありますね)
・赤色⇒LV-Aorta
・紫色⇒食道

図を見て頂ければ一目瞭然ですが左心房(LA)は心臓の真後にベッタリくっついております
左心房って心臓の左側にあるものだと思い込んでいる方も多いかもしれませんが、心臓の真後にあるんですね

そして左心室が右心室の後にある事も一目瞭然ですよね


  1. 2011/11/21(月) 19:11:22|
  2. EPS、RFCA
  3. | トラックバック:0
  4. | コメント:0
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。