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臨床工学技士blog

臨床工学技士である管理者が、知識の整理も兼ねてですが、主に臨床工学に関する情報をアップしていきたいと思っています。

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PCV設定のコツ


前回に続いて“Pressure Control Ventilationの設定のコツ”を示します。
人工呼吸器の目的は“酸素化及び換気量を正常に戻す事”ですがPCVで管理していると以下の問題が出てきます。
①酸素化が悪い、換気も良くない(CO2が溜まっている)、普通の呼吸不全状態
②酸素化は問題ないが、CO2が吐け過ぎている、もう少しCO2を溜めたい...

では具体的にどうするのか?
①に関してですが、いくつか方法があります。
一つは“設定吸気圧を上げる”という方法です。

吸気圧:15cmH2O
吸気時間:1.5秒
呼吸回数:15回
PEEP:5cmH2Oという設定から...

他の設定は変えずに、吸気圧を15→25cmH2Oに設定します。
吸気圧を上げる事で平均気道内圧を上げる事が出来るので酸素化を改善させる事が可能となります。
また、吸気圧を上げる事で一回換気量も増えますので、CO2を下げる事も可能となります。
但し、最高気道内圧を上げてしまう点、吸気圧-PEEPで与えられるDriving Pressureが10→20cmH2Oと大きくなってしまう点が肺胞にとってあまり好ましくはない状態と言えます(Driving Pressureが大きくなる→肺胞間のずり応力:shear stressが大きくなる為)。

ではもう一つの方法ですが
設定吸気時間を延ばす”という方法です。

吸気圧:15cmH2O
吸気時間:1.5秒
呼吸回数:15回
PEEP:5cmH2Oという設定から...

他の設定は変えずに、設定吸気時間を1.5秒→3.0秒に設定します。
吸気時間を延ばす事で平均気道内圧を上げる事が出来るので酸素化を改善させる事が可能となります。
また、吸気時間を延ばす事でより多くの肺胞が膨らむチャンスがある(より重症な肺胞は1.5秒の吸気時間ではGasが入らなくても3.0秒じ~っと待っていればGasが入る可能性がある、所謂Collateral Ventilationの考え)のでじ~っと待っていると自然と一回換気量が増えるという事がよくあります。
吸気時間延長→Gasが入るAreaが増える→一回換気量増加→結果的にCO2も下げる事が可能となります。
設定吸気圧を上げて最高気道内圧を上げるという事をするよりも最高気道内圧は変えずに設定吸気時間を延ばしてゆっくりゆっくり改善させてあげる後者の方が肺胞にも優しいのでいい方法かなと個人的には思っています。

では続いて②に関してですが、これもPCVで換気しているとよく経験される事だと思います。
“CO2=25mmHgか~もう少しCO2溜めたいんだけどな~”という場合ですが...
最高気道内圧は変えずにPEEPを上げる”という方法があります。

吸気圧:15cmH2O
吸気時間:1.5秒
呼吸回数:15回
PEEP:5cmH2Oという設定から...

最高気道内圧は変えずにPEEPを5→8cmH2Oに設定します。
上限は変えずにPEEPを上げて下からグッと持ち上げる...結果的に吸気圧が15→12cmH2Oに下がりますので一回換気量が減少し、CO2を溜める事が可能となります。
また、平均気道内圧は下げないで...逆に少し上げますので酸素化に関しても悪化させるという事はありません。
以上、参考になれば幸いです。

*具体的に示した数値は例えですので、あくまで考え方として捉えて頂ければと思います。


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  1. 2012/02/05(日) 09:20:56|
  2. 人工呼吸療法
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Pressure Control Ventilation


PCV(Pressure Control Ventilation)の主な設定項目として以下があります
・吸気圧
・吸気時間
・呼吸回数(呼気時間)

【吸気圧設定の重要ポイント】
・体重当たり10ml/kgを目安にする(上限12ml/kg程度)
・最高気道内圧(peak inspiratory pressure)が35cmH2Oを超えないように設定する
Driving Pressure(吸気圧-PEEP)を可能な限り小さくする
要するに体重当たり10ml/kg程度で開始するが、肺のcomplianceが低くて10ml/kg程度に換気量を保とうとするとPIPが35cmH2Oを超えてくる場合は換気量を制限しましょう...という事です

【吸気時間及び呼吸回数(呼気時間)設定の重要ポイント】
・flow波形より決定する
・flow波形は吸って~吐いて~の対数減衰curve、どちらもflow=0を目指す(吸気時間に関しては場合によってはflow=0より長く設定する事もあり得るが、とりあえずflow=0を目指し、途中で終わらない様にする事が重要)
・PEEPを変化させた場合も、flow=0が得られる様に吸気時間及び呼気時間の設定を見直す事

上から順にPressure、Flow、Volumeの波形
真ん中のFlow波形は吸って~吐いて...吸って~吐いて~吸って~吐いて~...となっており
吸気でflow=0がしっかり得られていますね
設定吸気時間が適切に設定されていると言えます
呼気もflow=0に戻ってから次の吸気が始まっていますね
これは今吸った分、全部吐ききって次の吸気が開始されている事を意味しています
呼気時間が適切に設定されていると言えます
吸気時間と呼気時間が決定されれば呼吸回数も自ずと決まってきます
この“flow波形の正常なパターン”をしっかり頭に入れておく事が重要です

では適切ではない吸気時間設定の例を以下に示します

同じく上からPressure、Flow、Volumeの波形
flow波形の形が先程と変わっていますね?
吸って~吐いて~の吸って~...あれ?flow=0に戻る前に呼気に転じているのがお分かり頂けるかと思います
これは現在設定している吸気圧及びPEEPでもって、まだ換気が入るAreaが残されているにも関わらず途中で終わってしまう、非常にもったいない吸気時間設定だと言えます
flow波形は縦軸が肺胞にGasが入っていくスピード、横軸が時間を表していますので吸って~の黒く塗りつぶされている部分の面積が一回換気量に相当します
吸気時間を延ばしてflow=0を目指すということは、一回換気量が増える事を意味しています
flow=0に戻っていないとう事は、まだ換気が入るAreaが残されている、一回換気量として稼げるAreaが残されているのです

続いて適切ではない呼気時間設定の例を以下に示します

同じく上からPressure、Flow、Volumeの波形
flow波形の形が先程と変わっていますね?
吸って~吐いて~の吸って~吐いて~...あれ?flow=0に戻る前に次の吸気に転じているのがお分かり頂けるかと思います
これは吸って~で肺胞に入ったGasを全部吐ききっていないにも関わらず、次の吸気が開始されている事を意味しています、要するに呼気時間が短いが故にAuto PEEP、intrinsic PEEPを作ってしまっているのです
Auto PEEPを作らない為にも、呼気もしっかりflow=0を目指す事が重要なのです
  1. 2012/02/05(日) 09:13:45|
  2. 人工呼吸療法
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加温加湿器



人工呼吸療法中は“加湿”が必要です

当院では通常の人工呼吸管理においては加湿性能、感染面、コスト等々を考慮して人工鼻回路を第一選択として用いておりますが、各々の患者さんに対し必要に応じて加温加湿器に切り替えております

F&P社の加温加湿器MR-850とEVAQUAの組み合わせで用いており、いわゆる自動給水式チャンバーを使用しております

現在、臨床現場で使用されている代表的な加温加湿器はF&P社のMR-410、MR-730、MR-850等があります

では気管挿管下での人工呼吸管理中、加温加湿器であればどれを用いてもいいのか?...どうでしょうか?

答えはNoです、用いる事が望ましいとされているのはMR-730、MR-850です

MR-410は他の2つと大きく異なる為、現在では“気管挿管下での人工呼吸には用いない事が望ましい”とはっきりと明記されております

何が違うのか?MR-410は“吸気側の温度調整が出来ない”...という点が他の2つと大きく異なります

人工呼吸器に使用する加温加湿器は、必ず温度コントロールが出来なければいけません

また、自動給水ではない、いわゆる手動でチャンバに蒸留水を補給する場合どこまで蒸留水を入れてますか?

チャンバに矢印で太い黒線が引いてあるので“ここの線まで入れるんだ”と思っておられる方も多いかもしれませんが、実はそうではありません

あの線の持つ意味合いは“これ以上入れないで欲しい”というものなのです

多すぎると換気に影響があるかもしれないので入れすぎは困りますが、少ない分には何の問題もありません(空焚きは困りますが...)

というかチャンバ内の蒸留水の量は少なく深さは浅い方が望ましい、それはなぜか?

量が少ない方が、より短時間で蒸留水を温める事が可能であるということがまず一点、もう一点は深さが浅い方が全体がより均一に温まる...というのがその理由です

自動給水式のチャンバでもよくよく観察してみると入っている蒸留水の量って意外と浅くて少ないもので、その理由は上記に記した通りです

どれ位少ないかは上記写真をご覧になって頂ければ一目瞭然かと思います

水位は黒い矢印ラインよりはるかに下ですよね

以上、ちょっとしたマメ知識でした

また、人工呼吸器のトラブル報告で非常に多いのが“加温加湿器、呼吸回路関連”とされています

加温加湿器では“電源の入れ忘れ”であるとか“蒸留水の補給忘れ”“チャンバが割れていた”“温度プローブがしっかりはまっていなかった”等々...

チェックする際には“人工呼吸器と加温加湿器は一体ではなく別々の機器だ”という認識を持ってチェックする事が重要だと思います

人工呼吸器チェックリストは各々の施設で持っているかと思いますが、慌てていたり急いでいたりすると設定であるとか数値、Graphicsに注目しがちで、加温加湿器は正常に動作しているものだと“思い込んで”素通りしてしまう事が多い...故にトラブルも多いものと思われます

“加温加湿器関連のトラブルは非常に多い”という認識をしっかり持ち、具体的に“どのようなトラブルが起きる可能性があるのか自分自身の中に知識としていくつか持っておく”そしてそれに注意し日々の人工呼吸療法業務にあたって頂きたいと思っております




  1. 2012/01/16(月) 20:18:49|
  2. 人工呼吸療法
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Electro Impedance Tomography


http://www.youtube.com/watch?v=3JhJaO-rhH8

皆さんEITを御存知でしょうか?

EITとはElectro Impedance Tomographyの略で、簡単に言いますと、胸部に電極をいっぱい貼り付ける事で、人工呼吸器を装着している患者さんの肺胞の状態がベッドサイドでReal timeに把握出来てしまう優れたtoolです

私は3年程前に都内の某大学病院の集中治療室でEITを患者さんに装着して臨床使用しているのを見学させて頂いた経緯があります

今までは肺胞が開いているのか閉じているのか...我々がベッドサイドでReal timeに知り得る手段は存在せず、この様な画期的なtoolは可能であればすべての人工呼吸器に搭載されていればいいのにな~というのが私の個人的な意見です

ですが、EITは非常に高額(...らしい)ですので、客観的に考えてどこの施設にも...という訳にはいかないでしょう

その施設に合っているのか合っていないのか...といった問題もあるでしょうし

いずれにせよ、今後数年あるいは十数年で人工呼吸療法は大きな変遷を迎えるかもしれませんね
  1. 2012/01/10(火) 20:38:18|
  2. 人工呼吸療法
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Ventilator Simulator


ここ最近人工呼吸の“臨床”から少し離れてしまっているので数年前に流行った話題になります

最近はどうなのか知りませんが、一時期“人工呼吸器シュミレーター”なるものが流行っていました

代表的なものと言えばDragerSimulatorです

以前はDragerのサイトから簡単にダウンロードする事が出来ましたが今も出来るのでしょうか?...

http://www.draeger.us/Pages/Hospital/Welcome.aspx

ハミルトンのSumilatorも私は所持していますが、こちらもネット上でダウンロード可能かもしれませんね

http://www.hamilton-medical.com/g5/

ちなみにこんな感じです




Servo-iやBP-840のSumilatorも数年前はなかったのですが最近はどうなのでしょうかね?

さて、代表的なDragerのSumilatorですがPC上で様々な患者状態を模擬する事が可能で、その病態に対してどうやってアプローチしていけばいいのか?

設定をどう変更していけばいいのか?スタッフ同士でDiscussionして人工呼吸器の設定を施す事が出来てしまう優れた教育ツールです

模擬可能な患者状態ですが、以下の4種類になります

①Normal ②COPD ③Asthma ④ARDS

各々の病態に対して、ResistanceであったりComplaianceであったり呼吸回数、自発分時換気量何かも任意に設定可能です

例えば、Asthmaの患者さんに対してどうアプローチしていくのか?Discussionしたとします



Asthmaは呼気に非常に長い時間を要する病態ですので、どう設定を変えていくのがBetterなのか、あるいはどの様な処置を施すのがBetterなのか?

Ventilator Graphicsのflow waveから呼気が終了する前に次の吸気に転じているのは明らかであり、intinsic PEEPがかかっている...どうアプローチしていくのか?

⇒呼気時間をしっかり確保する目的で呼吸回数を下げる、吸気時間を短くする

⇒Auto PEEP、intrinsic PEEPを相殺する目的でPEEPを上げる

⇒気管支拡張剤を投与する...他にもいろいろなアプローチの方法があります




あるいは、ARDSに対してどうアプローチしていくのか?



ARDSで酸素化が非常に悪い、modeはどうするのか?

⇒APRVにしましょう

じゃあAPRVでP.High、T.highの設定はどうするのか?

⇒SPO2を診て酸素化が落ち止まるpointまでP.highを上げましょう、T.highは6秒程度で開始しましょう。呼吸回数は10回/分程度でいいでしょう。

T.lowの設定は非常に重要なpointだが何を診てT.lowを決定するのか?

⇒呼気flow waveを診て呼気peak flowの50~75%になったpointで吸気に転する様T.lowを決定しましょう

intrinsic PEEPはしっかり確保されているかの判断は何を診るのか?

⇒Pressure wave formを常に表示させておく事が重要です、Pressure wave formを診て判断しましょう

Weaning(Drop & Stretch)はどの様にアプローチしていくのか?

一日に何センチ圧を下げていくのか?

一度圧を下げたら何時間様子を診るのか?等など...いろいろDiscussion出来ますね

これを“看護師や医師の教育のツールとして使用して、実際の臨床に活かす事”は十分可能だと思いますし、実際にそのような教育ツールとして使用している施設もあるかと思います

残念ながら当院はそこまで至っていませんが...

時間がある時にいろいろやってみると面白いですよ
  1. 2011/12/30(金) 18:15:40|
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