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臨床工学技士blog

臨床工学技士である管理者が、知識の整理も兼ねてですが、主に臨床工学に関する情報をアップしていきたいと思っています。

IVUS教育


PCI(経皮的冠動脈インタ-ベンション)におけるIVUS(血管内超音波)は、治療を行うにあたって非常に重要な情報源となります

当院では年間600~800件前後のPCIを実施していますが、ほぼ全症例にIVUSを使用しています

そして、IVUSの操作、計測、データ管理を担っているのが我々臨床工学技士です

適切な位置にSTENTを留置する為にも、IVUSではside branch(側枝)の同定が非常に重要となります

ことろが、冠動脈の形態は千差万別でありIVUS画像から本管と側枝及び病変部位との位置関係を把握する事は決して簡単ではないと思います

そこで当院で行っているIVUS教育といいますか、治療を進めるにあたってIVUSから得られた有用な情報をレスポンス良く医師に提供出来る様にする為に実施している方法を紹介します

その方法とは“術前のシネ画像を見ながら標的となる冠動脈の絵を書く事”です

“本管と側枝及び病変部位との把握”が出来ればいいので丁寧に書いてリアル感を出す必要はありません(側枝との位置関係は正確に書く必要はありますが...)

PCI実施の決定からSTENT留置前のinitial IVUSまでの間に1~2分程度で書いてしまいます

そしてメルクマークとなるであろうside branchを確認し、bookmarkをどこにたてるかを頭の中で予めsimulationしておく必要があります

当院ではオートプルバック(0.5mm/sec)で記録しているのですが、Pull-back記録開始から“どれ位の時間(距離)”に“どの方向(時計方向)”から“どのbranchが合流してくるか”を、IVUS記録中リアルタイムにすべて絵に書き込みます

IVUS装置に搭載されているbookmark機能は非常に有用なtoolなのですが、自分がたてたbookmarkがどのbranchなのか把握できなければそのbookmarkは意味も持ちません

恐らく施設によってはマニュアルプルバックで記録している場合もあるかと思いますが、マニュアルプルバックでは操作している医師しか分かってないのでは?と個人的に思ってます

IVUS操作に臨床工学技士が関わっている施設は多いと思いますが、記録後に医師から血管径を測る様に指示されたものの「もう少し手前戻って~いきすぎいきすぎ、戻って戻って、そこそこ、そこの血管径測って」といった感じ指示を仰いで臨床工学技士はIVUSを操作している施設もあるかと思います

ですが、その様な事であれば日本語が理解でれば誰にでも出来ると思いますし、臨床工学技士ではなく完全に機械屋さんと化してしまいうので良くないと思います

我々は臨床工学技士ですので“IVUSからいかに有用な情報を医師に提供する事が出来るか”が重要だと言えます

話がそれましたが、STENT留置前のinitial IVUSでは上記の様な流れで実施しています

ポイントは“シネ画像を診て標的となる冠動脈の絵を書く事”そして“bookmarkをどこにたてるか(branchの合流部位)をsimulationし、たてたbookmarkがどのbranchなのか把握する事です

STENT留置後のIVUSはinitial IVUSと違い見るpointが限られてきますのでそれ程難しくはありません

STENT留置後のIVUSの確認事項は以下の3点です

①STENT Edgeの解離(主にHematoma)の有無
②STENTの密着具合は十分か
③STENTの拡がり具合は十分か

STENT留置後のIVUSではSTENT Edgeにbookmarkをたてています

この時もPull-back開始からの距離(時間)がリアルタイムに画面に表示されていますので、その数値及び留置されたSTENT長を把握していれば、もうそろそろSTENT Edgeかな~と推測する事が可能となります

例えばLADに50mmの病変があってそこにSTENTを留置する場合...

23mmと28mmのSTENTを留置して1mm stent over rapさせたい場合、どちらをdistalにするかあるいはproximalにするのか...

IVUSで計測して23mmをdistalに留置した場合、stent over rapがside branchの分岐部と一致する様であれば“28mmをdistalに留置してproxmalに23mmを留置して下さい”医師に有用な情報を提供する事が出来ます

initial IVUSで石灰化が無いにも関わらずacoustic shadowが認められる場合は医師にdistal ptotect(末梢保護)をした方がいいですよ~といった情報を提供できます

本管側にプラークが存在する場合や側枝の径が大きい場合、側枝の根元にプラークが存在しない場合は側枝が閉塞する可能性は少ないですよ~といった情報を提供できます

如何せん、IVUSでは“initial IVUSでいかに有用な情報を提供する事ができるか”これが重要と言えます
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  1. 2012/04/22(日) 22:12:27|
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